先日、「羽鳥慎一のモーニングショー」で無縁墓の話と、墓じまいの話題をしていて、「あ!まさにうちの話ですか?」と思うような内容でした。我が家もまさに無縁墓の危機感がありました。私は嫁いでいるし、兄弟には子供がいないため、兄弟が入ったあとは、無縁墓決定です。さて、どうしようと数週間前から動き出して、先日無事に共同墓地への移動(改葬という)と、墓じまいを同時に済ませていたところでした。まさにタイムリーです。
わが家のお墓事情
我が家のお墓は、数十年前に都心から離れた、管理の行き届いた公園墓地の一角を永代使用でお墓を建てました。その額、なんと数百万円。両親はかなり頑張ったと思います。当時はそうしてお墓を持つことが当然だと思っていたし、それ以外の選択肢はなかったと思います。
その立派なお墓を、彼岸が来る度に家族で掃除をし、手を合わせていました。娘も一緒に連れていき、幼い手で一生懸命墓石を洗っている姿はほほえましくもありました。きれいな公園から眺める景色も素敵です。
ところが、管理の行き届いた公園墓地とはいえ、自分たちのお墓周りの雑草を取ったり、掃除や墓石を磨いたりと当然、自分たちで行うことになります。そしてそれは、ここ数年続く猛暑によって、年老いた両親がお墓を管理していくことの難しさを浮き彫りにしていきました。さらには、この先果たして誰がこのお墓の管理を続けていくのだろう、と心がザワついてきました。
そんなことをボンヤリ考えている矢先、遠くに住む親族に不幸がありました。
墓じまいを考えた
親族の不幸があり、そのことが現実的に考えるきっかけとなったことは間違いないのですが、それ以外にも日々考えていたことが、今回はっきりと墓じまいへと気持ちを固めていきました。
お墓の管理の負担
- 草むしりや、お墓の掃除など(特にお盆は猛暑と重なり過酷)
- お墓自体が遠方にあるため管理が大変
- 年会費の負担(数万円)
今後の不安
- 今後、誰がこのお墓の管理をしていくのか
- 子がいない兄弟がそのお墓に入ったら無縁墓が決定する
- 掃除や管理ができない草ボーボーのお墓はかわいそう
- 娘が一人で見ることになったら大変になる(嫁ぐ可能性もある)
親戚の不幸があった
- 遠方だが他にお墓がなく、うちのお墓に埋葬という話になった
- 埋葬のための費用(埋葬費、彫刻費用)
共同墓地への改葬(引っ越し)
同じ公園墓地の中に、共同墓地がありました。家族会議の末、こちらの方に改葬と先日亡くなった親族の埋葬を同時に行うことに決めました。
費用について
区画の永代使用料(今までのお墓)は年会費が数万円かかってきますが、共同墓地となると、改葬費(引越し)も、埋葬費も1体10万円。こちらの墓地では1体20万円出すと、共同墓地ながら、15年間は個々の管理としてネームプレートも作ってもらえたりという設定もあります。
いつもきれいで安心
一番は、こちらです。共同墓地は自分たちで管理せずにきれいにしてあるということ。草ボーボー、埃だらけで汚くなるということがないんです。誰かがお参りに来るというのも、寂しいお墓という印象はないです。
散歩がてらに立ち寄れる
きれいで安心につながりますが、思い立った時に手ぶらでもお墓に手を合わせに行かれます。「掃除しなきゃ」という負担がなくなることで、もっと手軽にご先祖に向き合える気がします。公園墓地という立地的にも、お散歩がてら行かれるというのも、嬉しいです。
全体の費用と手間
費用
- 共同墓地への埋葬代 1体10万円
- 墓じまいにかかる費用 出骨費 3万6千円、返却更地にする費用30万円
- お坊さん費用5万円(お布施代込み)その墓地で用意してくださるお坊さんの費用ですが、法事などでない限りやる必要ないと思います。それぞれの判断です
- 諸費用 花代、お線香代、お供物代など1万円ほど(我が家では新しい共同墓地に手を合わせるときに飾り、すぐに撤去)
手続き(我が家の場合)
当然、市町村によって必要な書類が変わってきてしまいます。こちらは、大まかな流れをメモしておこうと思います。こんなことが必要になるんだなという参考にしてくださいね。
- (墓地)新しい共同墓地の契約(墓地使用許可証)・認印と印鑑証明など必要
- (市役所)改葬許可申請書をもらう(各市町村など)
- (墓地)「改葬許可申請書」「受入証明書」もしくは「永代使用承諾証」を現在の埋葬先(墓地)に持って認印を受ける
- (市役所)認印のある「改葬許可申請書」「受入証明書」もしくは「永代使用承諾証」を持って「改葬許可証」をもらう
市町村と、現在の埋葬先(公園墓地の管理室)を行ったり来たりの手続きだった気がしますが、実質1週間程度で完了しました。途中、入金して埋葬の日程を確定したりしました。
墓じまい・改葬してみて
今回、改葬してみて何よりも良かったことは、父の安堵感です。やはり、老いていく自分自身の心配と、子供たちに迷惑を掛けられないという親心が、今回の改葬で心からホッとしているようでした。
私たち兄弟も、ほっとしました。先祖のお墓を守ってあげたいとは思いながらも、それがやはり正直、負担でした。この先の漠然とした不安が常に心のどこかにあったと思います。
費用もかかってしまいましたが、とても大満足の改葬となりました。数百万円で建てた立派なお墓を最後にみんなでお参りをし、「一度は立派なお墓を持てたこともいい経験だったね」という、前向きスイッチの発言で満足そうな両親の笑顔が見えて嬉しかったです。
また、秋になったら今度は娘もつれてお墓参りに行きたいと思います。