ユーミンが描く世界は、そこに描かれる強くてかっこいい女性たちや、色彩豊かな曲の世界観がとても魅力です。自分の日常に投影してみたり、力をもらったりします。
私の主観的な解釈ではありますが、ファンではない方もユーミンの曲を聴いてみたいと思っていただくきっかけや、世界観を感じてもらえたら嬉しいです。きっとあなたの心のビタミンになっていくと信じています。
躓いたり、悩んだりしている女性たちが少しでも前向きに上機嫌に人生を楽しんでいけますように。
後悔がリフレインする
リフレインが叫んでる(前半)
どうして どうして僕たちは
出逢ってしまったのだろう
こわれるほど抱きしめた
最後の春に見た夕陽は
うろこ雲照らしながら
ボンネットに消えてった
ひき返してみるわ ひとつ前のカーブまで
いつか海に降りた
あの駐車場にあなたがいたようで
どうして どうして私達
離れてしまったのだろう
あんなに愛してたのに
岬の灯 冴えはじめる
同じ場所に立つけれど
潮風 肩を抱くだけ
リフレインが叫んでる <引用>「Delight Slight Light KISS」曲・詩 松任谷由実
あまりにもインパクトのある歌い出しに、衝撃をうけます。別れてしまった後悔をストレートに表現し、リフレインするこの歌詞がダイレクトに心に響きます。
「最後の春に見た夕陽はうろこ雲照らしながら」の歌詞。春とうろこ雲という秋の季語が同時に表現されています。春から秋にかけての思い出が今は消えてしまった。具体的な春から秋というよりは、季節の流れの表現なのかもしれません。
「岬の灯が冴えはじめる」という夕方から夜にかけての海。思い出の場所に身を置きながらあの時の思い出を感じながら、それでも何も変わらない現実を感じているようです。
後悔しかない。どうして離れてしまったの。
リフレインが叫んでる(後半)
すりきれたカセットを久しぶりにかけてみる
昔気づかなかった
リフレインが悲しげに叫んでる
どうして どうしてできるだけ
やさしくしなかったのだろう
二度と会えなくなるなら
人は忘れられぬ景色を
いくどかさまよううちに
後悔しなくなれるの
夕映えをあきらめて
走る時刻
どうして どうして僕たちは
出逢ってしまったのだろう
こわれるほど抱きしめた
どうして どうして私達
離れてしまったのだろう
あんなに愛してたのに
どうして どうしてできるだけ
やさしくしなかったのだろう
二度と会えなくなるなら
リフレインが叫んでる <引用>「Delight Slight Light KISS」曲・詩 松任谷由実
なくしてから気が付く、大切だったもの。この主人公が思い出から、当時の思いや相手の思いに気が付き、後悔する思いが深まっていく様子が伝わって苦しくなります。
そして「どうしてできるだけやさしくしなかったのだろう 二度と会えなくなるから」この歌詞につづきます。あまりにもストレートにすべての後悔にこの言葉が響いてきます。
しかし、ここで「後悔しなくなれるの?」や「夕映えをあきらめて走る」という歌詞でこの彼女のどうしようもないつらい思い、後悔の念から少し顔をあげそうな気配を感じます。
これが、ユーミンの曲の世界。悲しいだけで終わらない希望につなげる世界なんだと思って解釈しています。
後悔は先に立たないという次へのステップ
「リフレインが叫んでる」が入ったアルバム「Delight Slight Light KISS」は、恋愛ソングの王道のようなアルバムなのですが、この曲の中に女性の強さを見出すとしたら、「後悔」そのものかも知れません。
あれだけ愛し合っていた二人が離れてしまう。離れてしまった原因はなにかではなくて「後悔をしている」という状況がストレートに伝わって、後悔は先に立たないんだということを実感します。
この曲によって、次の恋愛や家族に対して後悔しないようにやさしくしよう・・・と思えたら。
もし、あなたがこれほどまでに後悔している恋愛をしているなら、今は悲しいし、後悔に泣いて泣いて叫んで・・・を繰り返していくかもしれません。
その悲しみ後悔の波は荒波かも知れません。だけどその波は、いずれ穏やかになっていきます。絶対に穏やかになっていきます。大きな波は打ち寄せるたびに、ゆっくりゆっくりだんだんと小さくなっていきます。
そして、後悔だけだったと思う恋愛に意味が出てくる日が来ます。
そんな時にこの曲が、大切にすべき人に向けての大切な一曲になっていくといいなと思います。
そして私自身も、大切な家族に対して、後悔がないように心に置いている曲だということをお伝えしておきますね。両親に対して、兄弟に対して、娘や夫に対して後悔がないように接していけたら素敵だなと思っています。